Diary

自転車選手(ロードレーサー)が、雨の日でも走る理由

5月20日のトレーニング

  • ライド:3時間40分(100km)
  • 腕立て伏せ:60回 × 3

どうも。なんちゃってロードレーサーのラッシーです。

今日の天気は朝から雨でした。

自転車選手が雨の日でも走る理由、それは、雨の日のレースのため。です。全天候型のスポーツ、自転車ロードレース。道路が凍ってさえいなければ、よっぽどのことがない限りはレースは開催されます。「雨が降っているから」という理由でレースが中止になることはありません。

雨が降ると様々な条件が変わります。ですから、普段から雨でも走っておかないと、レースでいきなり対応するのは難しいのです。

雨の日には、路面のコンディションがまったく異なる。

一番の違いは、当然ながら路面のコンディションです。

ウェットとドライではブレーキングポイントも異なりますし、カーブへの侵入速度も変わってきます。

ロードレース界にもディスクブレーキが登場し、タイヤの性能も常に進化を遂げています。

しかし、自転車を操るのは人間です。ウェット・コンディションで自転車がどう反応するかは、普段から使っていないとわかりません。デリケートなブレーキの操作、ハンドリング。レースという厳しい環境下で一歩間違えば命さえ落としかねない過酷な競技です。練習の時から訓練しておかなければ、本番では使い物になりません。

雨の日には体温が下がる

体のコンディションも、雨が降っている時と降っていない時では全く異なります。暑い時期や熱帯地方のレースなら「恵みの雨」でも、春先や秋口、地域によっては真夏であっても、雨が降ることで体に与える影響は大きいです。

一言で言えば、体温が下がります。体は動かなくなり、パフォーマンスは下がるのです。

よく言われているのが、「風速1mで体感温度は1℃下がる」です。時速40km/hで走ると、その体感温度は、約11℃下がります。ですが、自転車ロードレースにおいては、激しくペダルを踏み続けるスポーツなので体は発熱し、実際にはそれほどの体感温度とはならない場合がほとんどです。

しかし、ウェット・コンディションでは、ずぶ濡れになって走るわけです。空気の24倍もの熱伝導率をもつとされる水分を常に身にまとって走っています。運動中の体が発する熱を上回り、かつ風を受けて走るため放射冷却によって大きく熱が奪われます。格段に体温は下がるのは明らかです。

先程、ペダルを激しく踏み続けていれば、と言いましたが、レース展開によっては何時間もレースが動かず淡々と進む場合もあります。集団の中で走れるからと言って、楽になるわけではありません。どんどん冷えていく体、つまりは低体温症との戦いになる場合があります。ウェット・コンディションでは、逃げにのったり前で展開をしている時の方が、高い集中力の中でより良いパフォーマンスを発揮できるものです。

ただ、こうしたことも、普段の練習から様々な温度帯や天候で走っていなければ、経験として蓄積されません。結果、ウェアの選択を間違えたり、レース展開に応じた対応ができずにレースを降りることにもなりかねません。実際、私が参加したことのある雨のレースでは、低体温症のために救急車の出動がありました。その同じレースに出た友人は、レース後半で体がまったく動かなくなりなんでもない直線でハンドル操作を誤って転倒。骨折してシーズン序盤から戦線離脱を余儀なくされました。

1つの大きなミスでも選手生命に影響を与えかねません。雨でも、雪でも、普段からありとあらゆる状況で走っておかなければ、いざというときに対処するのは難しいでしょう。

心の余裕

レースに臨むうえで、気持ちの準備は大切です。

雨だから弱気になるのか。逆に燃えるのか。両者には大きな差があります。トレーニングや生活習慣、食事など、今までやってきたことの積み重ねが大事であるならば、雨の日に走るレースにおいても、どれだけ厳しい条件の中で走ってきたかが経験としてあるのとないのとでは大きな差が生まれます。

ウェアは何を着ようか?補給はどうしよう?タイヤの空気圧は?ウォーミングアップは? いつも何気なくやっているすべてのことの前提状況が変わるので、雨の日のトレーニングをしていなければ何をどうしてよいかわからず気持ちが定まりません。結果、レースそのものに対する集中力はそがれ、どんなにフィジカルが高くても本来の力を発揮するのは難しいでしょう。

普段から雨の日でも走っていれば、心に余裕が生まれ、自信に満ちた状態でレースに臨むことができると思います。

雨の日のトレーニングは、危険との隣り合わせです。自転車は汚れますし、ウェアやシューズの処理も大変です。

しかし、悪いことばかりではありません。厳しい環境下で練習をすることは、強くなれるチャンスです。高い集中力が要求されるので、それだけでもいいトレーニングになります。

トレーニングが終われば、弱い自分との闘いに勝って練習に出た自分をほめてもいいでしょう。トレーニングやレースが終わった後のお風呂・温泉は格別のものがあります。そんな、何気ない日常の一コマでさより一層際立たせてくれる雨の日のトレーニング。ぜひ走ってみてください。

でも、くれぐれも車と体調管理には気を付けて。

-Diary
-, ,